編集こばなし

毎年3月31日はワールドバックアップデーです。我々QNAPも毎年バックアップの重要性について啓蒙活動をさせていただいております。今年はバックアップと似たような言葉を集めて、それぞれの違いをまとめてみました。

ここでは想定する障害内容として、ファイルの上書き保存ミス、ディスク故障、ファイルシステム障害、本体故障、バックアップ先の故障といったケースを考え、またそれぞれの方法について、データ復旧にかかる時間のイメージをまとめてみました。

RAID

  • RAIDはディスク故障が発生した場合でも、データロストが発生せず、継続運用ができます。
  • 一方で、上位レイヤーで発生するファイルの上書き保存ミスやファイルシステム障害などに対しては全く対応できません。
  • バックアップ先で障害が発生した場合は、当然ながらバックアップ元となるRAID本体のデータには影響ありません。
  • 本体が故障してしまった場合は、多くの場合中身のディスクをそっくりそのまま新しい筐体に移すことで問題なくデータを参照可能です。
  • データロストが発生せず継続運用ができるといった点から、ディスク故障対策に特化した手段としてほとんどのNASにてRAID機能がサポートされています。

スナップショット

  • スナップショットは、ファイルシステムの機能の一部です。誤ってファイルを書き換えてしまった場合に手軽に元に戻すことが可能です。
  • ディスク故障に対してはストレージレイヤーの構造に依存する部分があり、RAID1のように冗長性がある構成であれば問題ありません。シングルディスク上のスナップショットなどはディスク故障とともにファイルシステムも故障し、スナップショットにもアクセスできなくなってしまいます。
  • 本体が故障してしまった場合は、ディスクを丸ごと新しい筐体に移すことで、元のデータにアクセスできるようになる可能性があります。

バックアップ

  • バックアップはファイルの上書きミス、ディスク故障、ファイルシステム障害、本体故障の場合と幅広く対応できます。
  • 一方でバックアップ先からデータを復旧するのに時間がかかる場合が多いです。ファイルを間違って上書きしてしまったようなケースは、スナップショットから復元する方がより早くて簡単です。
  • バックアップ先が故障した場合は、バックアップとして保存しておいた過去のバージョンが消失してしまいます。”過去のバージョンが重要になるかもしれないケース”では、バックアップのバックアップを取るなどして対策が必要です。

同期

  • 同期は、ディスク故障や、本体障害時でも同期先にデータが残っているため、そこからデータの復旧が可能です。
  • ファイルを間違って上書きしてしまった場合は、間違ったファイルが同期先に同期されてしまうので、復旧が難しい場合が有ります。
  • またファイルシステムが化けてしまった場合も、化けたファイルが同期される可能性があるので注意が必要です。
  • 同期では同一データが同期元、同期先に存在するので、同期元が故障してしまった場合に即座に切り替えてオペレーションを継続したいような場合に使用されます。

アーカイブ

  • アーカイブは基本的な動作としては、高速なファイルサーバーをメインで使用し、空き容量を確保するためにアーカイブ先サーバーに順次移動する、という動きになります。
  • したがって、ファイルを間違って上書きしてしまったような場合は、そのファイルの複製自体が存在しないので、復旧手段がありません。
  • 同様に、ディスク故障によってアクセスできなくなった場合や、ファイルシステムが故障した場合、本体が故障してしまった場合は”メインのファイルサーバーにしかないファイル”は失われてしまいます。
  • 同様に、アーカイブ先が故障してしまった場合は、アーカイブ先にしかないアーカイブされたファイルが失われてしまいます。
  • よって、メインサーバーのバックアップ、アーカイブサーバーのバックアップと組み合わせて使用する方法があります。

通常はそれぞれの機能を組み合わせて、以下のような構成にすることが多いです。同期をとっておくことで、メイン機に障害が発生した場合にすぐにサブ機に切り替えられるようにしておきます。また、過去のバージョンへのリストアが必要になった場合に備えて、サブ機からバックアップを取っておきます。さらにランサムウェアに社内サーバーがすべてやられてしまった場合や、自然災害にあってしまった場合などに備えて、クラウド上にデータをさらにバックアップする、といった具合です。
また、この構成であれば、3-2-1バックアップも実現できます。

QNAPコミュニティでは、2025年のワールドバックアップデーのイベントとして”QNAP x WD スペシャルプレゼント”を実施中です。皆様のバックアップにまつわるエピソードなどございましたら、ぜひコミュニティの方へ投稿をお願いします。
myQNAPcloud Storage 10TBを1年分など、豪華賞品を用意してお待ちしていますので、ふるってのご応募をお願いいたします。


コミュニティトピック

QNAP コミュニティで気になったトピックをピックアップするコーナーです。

URL : https://community.qnap.com/t/qnap/614
タイトル : スキャナーからQnapが認識されない

ご相談内容は「NASの買い替え後、お手持ちのMFP(Multi Function Printer, いわゆる複合機のことです)でスキャンしたデータをNASに保存できなくなった」といった内容でした。
弊社Harinezumiのほうから回答させていただいておりますが、NASとMFPで通信する場合のプロトコルであるSMBは機能追加や脆弱性対応のため、年々更新されています。特に長年お使いのMFPの場合、SMB1にしか対応していないといった機種もあります。しかしながら、SMB1には脆弱性があることが明らかになっており、最新のWindowsやNASでは、SMB1をデフォルトでは無効にしている場合が有ります。
今回のケースでは、NAS側でSMB1を有効にしていただくことで、無事にMFPから接続、スキャンしていただけるようになりました。

社内からのアクセスだけであれば問題ないかと思いますが、第三者が接続できるようなネットワークでは、セキュリティの観点からSMB2, SMB3に対応したMFPに買い替えてお使いいただく方がよいかと思います。

QNAP コミュニティサイトでは、皆様のナレッジや、サポートに問い合わせるまでもないけどちょっと聞いてみたいことなどを募集しています。ご興味がある方はぜひぜひご活用ください!日本語専用カテゴリも用意されています。

QNAP コミュニティへ »


展示会出展のお知らせ

4月に開催されるJapan IT Weekに参加します。QNAPでは刷新したストレージソリューションガイドに沿った内容にて、製品展示を行います。実動デモをご覧いただき、気になったソリューションはガイドとして持ち帰り後日社内にてご確認いただくことが可能です。

ぜひ皆様お誘いあわせの上、ご来場ください。スタッフ一同お待ちしております。

• 展示会名称:Japan IT Week
• 開催期間:2025年4月23日(水)~25日(金)
• 開催場所:東京ビッグサイト
• 小間番号:2-26
※展示会に関する情報はこちらでアップデートしていきます。ぜひご確認ください。


3月の新製品

TS-h1277AFX

集中的なクリエイティブ作業および仮想ワークロード向けに設計された高性能オールフラッシュ NAS。

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By プロダクトマーケティング部 部長

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